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2017年 03月 23日

写真集「はるいろは かすみのなかへ」について

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はるいろは かすみのなかへ

この本はタルコフスキー、アンゲロプス、ギッリを想い作りました。


下記は「あかるいほうへ」シリーズについて2014年に書いた文章です。

(そのまま掲載します)






「1日で始まり1日で終わる」

「あかるいほうへ」シリーズは2008年9月17日、久々に大沼公園を訪れた事から始まった。
公園を歩いている時に光、匂い、音、空気その他が作用して子供の頃の記憶が蘇ったからこそ動き始めた。
撮影は日暮れまで、まさに走るように光を追い求めた。
それらのフィルムを東京に持ち帰り現像、プリントすることで撮影時とは別の新たな記憶が積み重ねられた。

その年の12月に予定していた写真展の為に本を作る事を決めていた。
何を出展するのかはまだ決めかねていた。
8月ぐらいから本の制作にあたり編集、デザインをやる高橋健介氏に幾つかのプランを持ちかけた。
そこには「とびら」(後に「THE TITLE PAGE」へ繋がる作品)やその他今だに未発表の作品があった。
突然「あかるいほうへ」の作品が飛び込んできた。
この作品で写真展をやり本を作ることを決めた。

写真集を作るにあたり10月終わり、紅葉真っ盛りの大沼公園を再び訪れた。
今度は約一週間の撮影で湖畔と森を毎日彷徨い歩いた。
子供に頃の記憶をベースに出来上がった本が「あかるいほうへ」晩夏から秋への移ろいを表した。
そしてこの場所での作品をシリーズ化する事を決めた。

翌年の2009年冬、2月初頭、例年なら一番寒い日を狙い大沼公園へ
しかしその年は暖冬で雪が少なくイメージしていた写真が撮れない、毎日彷徨い歩き何かを見つけようとしていた。
10日ぐらいの撮影を終えたが中身は乏しいものと解っていた。
一旦東京に戻り、また来年かなーと思っていた矢先、大寒波が到来、再び撮影に訪れた。
先週とは違い氷の上を歩くのも安心感がある。
白一色に覆われた世界と共に撮影は進み約1週間の撮影を終えて戻った。

「とりのこえをきいた」を写真集にしたのは2010年、冬の撮影以来、横目では写真群を見ていたが「THE TITLE PAGE」の制作で精魂使い果たしてしまった為に丸々一年間あまり放置(寝かせ)ていた。
タイトルのとりのこえをきいたとは、冬の撮影時、静まりかえった森の中では鳥がしきり歌っていたのでつけた。
色がほとばしる紅葉の水面が冬を迎え白とグレーの世界に静かに変化してゆく様子を表した。
編集、デザインは「あかるいほうへ」と同じく高橋健介氏
「うまれたときにみた」という言葉は実は一番最初の撮影を終えた後に思い浮かんでいた。
2010年終わりから2011年初頭、「神/うまれたときにみた」の写真集の制作に取り掛かった。
書肆サイコロのサイトヲヒデユキ氏との初めての仕事だ。
編集が終わり、印刷の工程へ入っていったが思い通りの色がなかなか出ない。色校正の時点で紙を変更したりニスを引いたりしたが結局本番の刷りで調整するとう事となった。
印刷所は北海道の石狩にあり立会の前にサイトヲ氏と供に厳寒の大沼公園を訪れ実際の景色を体感してから印刷本番を迎えることができた。
印刷は困難を極めたが雪国で育った印刷オペレーター達はさすがに雪の色について熟知していてコツをつかむと
順調に進み始めた。
2011年3月6日まで書肆サイコロにて「神/うまれたときにみた」の展示をやり終え3月11日大地震、津波、原発事故が起き私達は恐れおののき、暫く何も手につかない日々を過ごした。
同年の5月北海道は待ちに待った春を迎え、桜も梅も咲き乱れ植物達は爆発的に活動し始めていた。
久々に大沼公園を訪れたのはそんな1日だった。
「はるいろは かすみのなかへ」は5月17日快晴の爽やかな風く日に始まった。
春の天気は変わり易く太陽は隠れ強風が吹き始めた。海からの風は霧を運んできてみるみるうちに湖面を
覆い何も見えなくなった。
そんな時は1時間ぐらいで終わり何も無かったかのように太陽は顔を出し雄大にそびえる駒ケ岳を照らしだした。
2013年ポエティック・スケープで「はるいろは かすみのなかへ」で展示した。
それに合わせて写真集を作ろうと考えたが、最終形が見えずに今だに制作には至っていない。
今回のON READINGでの展示は4年越しで制作してきた作品の中からの展示となります。
写真集「あかるいほうへ」「とりのこえをきいた」は在庫が少なくなっています。
供に500部制作してやっとここまでたどり着きました。
在庫が無くなり嬉しくもあり、あーもう無いんだと寂しい気持ちも少しあります。
ふとした1日から始まりふとした1日で終わる。
予期せぬ出来事が必ずやってきて常に自分に作用し何かを想起させ突き動かす。
その事を感じるアンテナを常に張っていたいと思います。


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by seijikumagai | 2017-03-23 12:34 | Comments(0)


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